起業したばかりの頃や、社長に就任したばかりの頃はモチベーションも高く、仕事がしたくて仕方ないという状況だったのに…
最近は仕事のやる気が起こらない、ワクワクしない、という経営者は珍しくありません。
経営者でもモチベーションが下がってしまうことはあるのです。
そんなときどうすれば良いでしょう?
行動すれば良いのですが、その内容が大切です。
経営者なのにやる気になれない自分はダメなのか?
経営者はいつでもモチベーションが高く見えます。
Amazonのジェフ・ベゾスもテスラのイーロン・マスクも常に精力的に働いています。
彼らを見ていると、生まれ持った強烈なモチベーションが圧倒的な努力につながり、行動を続けさせ、成功をもたらすと考えるかもしれません。
そして経営者なのにやる気になれない自分はダメなのかと不安になったり、自信を失うこともあります。
しかし、全ての経営者が心の奥底から勝手にモチベーションが湧いてくるわけではありません。
仕事をすることで情熱が湧きモチベーションにつながる経営者もいます。
というより経営者に限らず、仕事に労力を費やすことで情熱が芽生えるという心理傾向は多くの人間が持っています。
仕事をすると情熱が湧いてくるという逆方向の結果
ロイファナ大学のマイケル・M・ゲルニク博士らが54人の起業家を8週間に渡って調査しました。
対象となった起業家の平均年齢は36歳で、男女比はほぼ同じです。
業種は小売、製造、サービス、マーケティング、セキュリティなど様々でした。
この調査で何を調べたかというと、仕事に費やした労力と湧いてきた情熱です。
つまり、どれくらい仕事のタスクをこなしたかと、どれくらい楽しみや興奮を得られたかということです。
一般的には情熱があるからこそ、仕事も大量にこなせると考えられています。
しかし、この調査では、より多くの仕事をすると情熱が湧いてくるという、逆方向の結果が判明したのです。
情熱が高まる仕事の2つの要素
つまり、経営者であるあなたのモチベーションが下がっているなら行動せよということなのですが、それだけでは不十分です。
どのように仕事をするかも関係してくるのです。
別の実験で情熱が高まるタスクについて分析しているのですが、そのために重要な要素が2つ判明しています。
それは「進捗」と「自由度」です。
つまり、仕事をしていても結果が出なかったり、ビジネスが前に進んでいるという感覚がないとワクワク感は出てこないのです。
また、自分がやりたいと思っているビジネスのほうが情熱は高まりやすいことも分かっています。
仮にあなたが先代社長から引き継いだ2代目、3代目だったとすると、自分でやりたかった業種でないこともあるので、やる気が起こりにくい可能性もあるのです。
どうすれば仕事のモチベーションは上がるのか
どうすれば進捗と自由を感じることができるでしょうか?
進捗については実はそれほど難しいことではありません。利益が出ることだけが結果ではないのです。
仕事を分解し、日々のタスクに落とし込み、リスト化して完了するごとにチェックを入れるなどでも良いです。
モチベーション管理でよく使われるテクニックです。
自由に関しては業種を変えなくともやり方を変えれば良いです。市場へのアプローチを変える、組織設計を変えるなど様々です。
それでも上がらなければ新しいビジネスを始めるのです。事業部でも子会社でもエンジェル投資した先にアドバイザー的に関わるのでも良いです。
小さなビジネスであってもそこでモチベーションが高まれば、本業に対するモチベーションも上がるのです。
イーロン・マスクも不安定
何をやっても動く気になれないというのであれば「経営者が死にたくなるほど苦しいときどうすれば良いか?」でも解説しましたが、うつ病などの可能性もあるので医師に相談することを考えた方が良いでしょう。
経営者というのはメンタルを病むことを恥ずかしいこと、情けないことと考えてしまうことが多いです。しかしそれは誤った考え方です。
メンタルを病むのに精神的に強いか弱いかは関係ないのです。単に脳がそういう反応をしているだけなのです。
先日、イーロン・マスクの伝記を読んだのですが、彼も精神的に不安定な部分があり、1日中ゲームをしていることもありました。
落ち込んだり、モチベーションが上がらない時期は誰にでもあるのです。
参考文献:Michael M. Gielnik, Matthias Spitzmuller, et al. (2015). I Put in Effort, Therefore I Am Passionate:Investigating the Path from Effort to Passion in Entrepreneurship.