人に嫌われるのが怖いHSPは拒絶感受性が高すぎるのです

HSPが併せ持つことのある特徴の一つに人から嫌われるのが怖いというものがあります。

HSPは拒絶感受性(RS:Rejection Sensitivity)が高いためこのような恐怖感を持ちやすいといえます。

拒絶感受性とは他者からの非難的態度に対してどれだけ心配しやすく反応しやすいかという傾向です。

これが高いとちょっとしたことでも「拒絶された」「嫌われた」と認識してしまい落ち込みすぎてしまいます。

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人から嫌われることは誰でもショックなものですがHSPはそれに対する恐れが異常に強いのです。人によってはこの恐怖が心と体を疲弊させることもあります。

HSPでなくとも拒絶感受性の高さのみを持つ人もいます。

HSPの特徴には当てはまらないけれど嫌われることを極端に恐れるという人は該当するかもしれません。

敏感に感じ取る、勘違いする

拒絶感受性の高い人は相手の表情や言葉に敏感です。

少しでも拒絶のサインを感じ取ると全てを否定された気分になります。ちょっとした手がかりを過大に評価するのです。

そしてそのような出来事ばかりよく覚えているという特徴もあります。

友人を10回誘って9回はOKしてもらえたとしても断られた1回のことをいつまでも気にするのです。

また相手が悪意を持っていなくとも何気ない言動を拒絶のサインと勘違いしまうことがあります。

その場合も極端な行動に走ってしまい本当に嫌われてしまうという自己実現的な予言になることがあります。

そして「やっぱり嫌われた」という意識を強め悪循環にはまり込んでしまいます。

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深く落ち込む

拒絶反応の感度が高い人は、拒絶されると精神的苦痛を感じて怒りや悲しみの度合いが高くなります。

このときの反応は何もできずに大人しくなるだけとは限りません。

不快感を和らげるために攻撃的になったり、自傷行為を行ったりすることもあります。

家族や恋人、親友など親しい間柄の相手から拒絶されたと感じると感情を爆発させたり暴力を振るうこともあります。

また1人でいるときも「嫌われているのではないか?」と心配することによってメンタルヘルスに悪影響を及ぼすこともあります。

拒絶反応感受性の高い女性の場合はそうでない人と比べて失恋後に抑うつ状態になるリスクが高くなるという研究もあります。

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身体的な反応

カリフォルニア大学ロサンゼルス校のリサ・バークランドらの実験によると拒絶感受性の高い人は脳の反応も異なることが分かっています。

実験では非難、怒り、嫌悪感を表現したビデオクリップを見せて被験者の脳をfMRI(機能的磁気共鳴画像法)でスキャンしました。

その結果、拒絶感受性の強い人は怒りや嫌悪感よりも非難の表情に対しての反応が大きかったのです。

具体的には脳内で情動の認知に関わる前帯状皮質が活発になっていました。

また他の実験では拒否されたと感じたときに自律神経が高ぶりやすくなることも分かっています。

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原因

拒絶感受性の高さの原因は人によって違いますが以下の3つが考えられます。

家庭環境

過度に批判的な親や子供を無視する親に育てられると拒絶への恐怖が強くなります。

自尊心が低いまま成人し見捨てられることへの恐怖から恋愛依存症になってしまうパターンと重なる部分があります。育児放棄や虐待があった場合も影響を受けます。

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友人関係(ピアグループ)

児童期の友人関係のことをピアグループと呼びます。

ストーニーブルック大学のアシュリー・アライザらの数年間に渡る調査ではこのピアグループが拒絶感受性に影響を与えることが分かっています。

仲間にからかわれたりいじめられたりするとその後も拒否されることを恐れるようになります。

友人ではありませんが恋人からの批判や拒否が拒絶感受性を高めることもあります。

遺伝的要因

一部の人々は遺伝的に拒絶反応に対し極度の不快感を受けやすいと考えられています。

家族にこの気質がある場合にはそれを引き継いでいる可能性があります。

克服方法

相手の些細な反応を気にしすぎたり、拒絶されたことをいつまでも気にしてしまうのは物事の捉え方の問題といえます。

ですから否定的な思考パターンを特定し認知の歪みを修正する認知行動療法が効果的とされています。

自分の心を俯瞰して見ることによっても落ち着きを取り戻すことができます。

高すぎる拒絶感受性を抑えることによって、人に嫌われるのが怖いという感覚も弱まっていくでしょう。

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【注意】拒絶感受性が高過ぎる状態をRSD(Rejection Sensitive Dysphoria)と言います。
RSDは日本語にはなっていませんが「Dysphoria」は「不快気分」という意味です。
DSM-5(精神障害の診断および統計マニュアル)で認められているものではありませんがADHDとの関連が疑われるケースもあります。
拒絶感受性が高過ぎると思う場合は他の発達障害や精神疾患の可能性も考慮して精神科を受診したほうが良いかもしれません。

参考文献
・Ashley M. Araiza,Antonio L. Freitas,Daniel N. Klein(2019)Social-Experience and Temperamental Predictors of Rejection Sensitivity: A Prospective Study.
・Lisa J. Burklund,et al(2007)The face of rejection: Rejection sensitivity moderates dorsal anterior cingulate activity to disapproving facial expressions.

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