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HSPのカウンセリング・相談

当カウンセリングルームではHSPのためのカウンセリングを行っております。

HSPとは高い感受性を持った人のことです。

仕事や人間関係の困難さといった生きづらさを抱えることもあります。

HSP(Highly Sensitive Person)とは

外からの刺激の受けやすさを「環境感受性」といいます。

視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚という五感がどれだけ敏感かということです。

この環境感受性の高い人のことをHSPといいます。子供の場合はHSC(The Highly Sensitive Child)といわれることもあります。

HSPもHSCも心理学者のエレイン・アーロン博士が提唱した概念です。

日本語では「とても繊細な人」「とても敏感な人」などと訳されます。

人口の2~3割ほどがHSPに該当するといわれています。

HSPには具体的に次のような特徴があります。

  • 光や音、臭い、気温の影響を受けやすい
  • 他人の機嫌に敏感で空気を読み過ぎる
  • 大勢がいる場所で消耗しやすい
  • 他人が暴力や暴言を受けているのを見て自分も傷つく
  • 仕事で競争したり一度に複数のことを頼まれるのが苦手
  • ちょっとした雑音でも目覚めるほど睡眠が浅い
  • 他者の気持ちに共感しやすい

※HSPの中でも特に共感力の高い人をエンパスと呼ぶこともあります。

DOES

HSPの主な特徴を以下の4つにまとめる考え方もあります。

  • Depth of processing(処理の深さ)
  • Overstimulatetion(刺激の受けやすさ)
  • Emotional reactivity and Empathy(共感と情動的な反応性)
  • Sensitivity to Subtleties(繊細なことへの感受性)

それぞれの頭文字をとって「DOES」といわれています。

敏感に反応する脳

HSPが上記のような特徴を持つ原因は脳の反応のしやすさにあると考えられています。

感情に関連する扁桃体が活性化しやすいというデータもあります。

またカリフォルニア大学の研究によるとHSPは何もしていないときでも不安の調節に関連する楔前部と海馬の接続が強いことが分かっています。

普段から危機に対応できるよう脳が過敏になっているということです。

どう育てられたか?

双子を対象に行った研究では環境感受性の高さは遺伝的な要因も強いことが分かっていますからHSPの脳の特性も生まれつきの先天的な部分は大きいと考えられます。

しかしどのように育てられたかによってその気質や生きやすさは変わることがあります。

カリフォルニア大学の研究によると質の高い子育てを受けたHSPはポジティブな情報に対して良く反応することが分かっています。

それだけではなくネガティブな情報に接したときは自己調整に関する脳の部位が活性化することも分かりました。

つまり質の高い子育てを受けたHSPは良い出来事へのポジティブな反応を高めるだけではなく、悪い出来事に遭遇したときの自己コントロール能力も高めるということです。

どう育てられたかがHSPの自己肯定感にも影響するという研究もあります。

情動的共感と認知的共感

HSPは共感力が高いといわれますが共感には2種類があります。

意識していなくとも勝手に他者の感情が入り込んでくる「情動的共感」と、相手の立場に立って意識的に心情を察する「認知的共感」です。

HSPは情動的共感の強い人が多く周囲の人間の感情が伝染してきて苦しくなるという人もいます。他人の心と自分の心の境界線が薄いのです。

また場の雰囲気を悪くしないようにという配慮をしすぎるため認知的共感をし続ける状態の人もいます。

HSPの生きづらさについて

HSPの生きづらさについて仕事、人間関係、情報という側面から説明します。

仕事・職場

HSPは決してビジネスの能力が低いわけではないのですが仕事でパフォーマンスを発揮できないことがあります。

なぜなら必要以上に緊張やストレスを感じてしまうからです。

上司や同僚の顔色を伺いすぎたり些細なミスやトラブルでも大袈裟に考えてしまうのです。

また周囲の視線を気にしすぎてしまうこともあります。

これは常に大勢の観衆のいる舞台上で働いているようなものですから脳も体も硬直し失敗しやすくなってしまうのです。

人間関係

HSPはたとえ仲の良い友達であっても長く一緒にいると疲弊することがあります。他人の感情表現に敏感だからです。

HSPは嬉しさや悲しさを表した顔の写真を見ただけでも脳の感情を司る部位が活性化することも分かっています。この反応は親密な相手であるほどに顕著とされています。

またルイジアナ州立大学の研究によるとHSP傾向の大学生ほど学内でコミュニケーションの不安を感じやすいことも分かっています。

仲の良い相手からは感情を受け取り過ぎ、仲の良くない人には気を遣い過ぎるためHSPはあらゆる人間関係で消耗しやすいのです。

情報

HSPはネガティブな情報を目にするとそれだけで精神的に消耗することがあります。

たとえば芸能人の死のような自分と直接関係ないニュースでも不安やストレスを感じてしまうことがあります。

HSPと相関があるとされる性格タイプに神経症傾向があります。

オランダのオープン・ユニバーシティの実験では神経症傾向の強い人は暗いニュースを見たときに気分が落ち込みやすいことが分かりました。

これは戦争やテロのような重大なニュースだけでなく日常的な悪いニュースでも同様の傾向がみられました。

HSPは共感力が高いため関係のないニュースであっても自分と結びつけやすいのです。

ニュースだけではなく暴力的な映画や動画からも負の感情を受けすぎてしまうというHSPもいます。

燃え尽き症候群(バーンアウト)

HSPが仕事でストレスを感じやすいことは説明した通りですがそれが行き過ぎると燃え尽き症候群(バーンアウト)になるリスクも高まります。

燃え尽き症候群とは意欲や熱意がまるで燃え尽きたようになくなってしまう状態のことです。主に次のような特徴が出ます。

  • 情緒的消耗
  • 脱人格化(例:他者に対して冷たくなる)
  • 達成感の低下

アンジェロ州立大学の調査によると看護師のような対人援助の仕事をする人の中でもHSPほど燃え尽き症候群になるリスクが高いことが分かっています。

日常業務と患者への対応をきちんとこなそうとするほどにそれが出来なかったときのストレスを感じやすく、その状態に長く晒されることが要因と考えられます。

HSPについての勘違い

HSPについてネット上では様々な情報が掲載されています。それだけを見ていると誤ったイメージを持ってしまうこともあります。HSPについて勘違いされやすいことについて説明します。

内向的とは限らない

HSPは内向的と言われますが全員がそうではありません。外向的なHSPもいます。

そもそも内向的・外向的という場合には社交的かどうかを意味するのではありません。

説明しにくいのですが単純化していえば「自己の内面に向き合っているときと他者の内面に触れたときではどちらが心のエネルギーにプラスになるか?」ということです。

前者を内向的と呼び後者を外向的と呼ぶのです。結果として外向的な人は社交的になる傾向にありますがこの2つは同じものではありません。

内向的な人でも社交的な人はいます。自分は内向的なHSPだから人間関係が苦手なんだと否定的な思い込みを持たないようにしましょう。

怒りっぽいHSPもいる

HSPの人は弱気で怒ることができないというのも勘違いです。

怒りの感情を表現するのが苦手だったり我慢してしまうということはありますがだからといって怒りにくいということではありません。

例えば音に対する敏感さを「騒音感受性」といいますがこれが強い人ほどイライラや怒りを感じやすいことが研究で分かっています。

騒音感受性が強い人は音に対して注意を払う傾向にあるのでそれを脅威と捉え自律神経が高ぶりやすいのです。

音に限らず外部からの刺激を脅威と捉えやすいHSPは脳が「闘わなければ」と判断して怒りやすくなるのです。

自分はイライラしやすいからHSPではないのだと勘違いしないようにしましょう。

HSS型HSP:刺激を求めるタイプもいる

HSPは環境からの刺激に反応しやすいので穏やかな環境のほうが落ち着く人が多いです。

しかしだからといって刺激的な活動が嫌いなわけではありません。

心理学者のマービン・ズッカーマンは強い刺激を求める気質のことをHSS(High Sensation Seeking)と概念化しました。「感覚刺激追求型」などといわれることもあります。

HSSの人は危険な行動や新しい体験を積極的に求めそれによって興奮するという気質を持っています。

そしてこのHSSの気質を持つHSPもいます。好奇心が強く新しい体験や出会いを求めます。プライベートの予定がぎっしりというHSPもいます。

それらの行動をしているときは興奮や楽しさを感じられます。しかしそこでエネルギーを消耗しすぎることで帰宅後にぐったりしてしまうことも多いです。

HSPのカウンセリングを受けるときの注意

HSPがカウンセリングを受けるときに注意してほしいことがあります。

一言でいうと騙されやすいので気をつけましょうということです。

HSPの診断チェックリストとバーナム効果

HSPは病気ではありませんから精神科に行っても医学的に診断されることはありません。

しかしHSP傾向を測定するためのチェックリストはあります。ネット上で見た人もいるでしょう。

そのリストでセルフチェックをすると多くの人が「自分はHSPだ」と思ってしまいがちです。

なぜなら抽象的な文言が多く誰でも多少は当てはまるような項目が多いからです。

このように誰にでも当てはまりそうな一般的な特徴でも自分の事として捉えると該当しているように感じる現象を心理学では「バーナム効果」といいます。

占いが当たっているような気がするのもこの効果によるものです。

特に落ち込んだり悩んだりしているときにHSPのチェックリストを見るとすべてが当てはまっているように感じてしまいます。

精神状態に関わらず常にHSPの特徴に当てはまるのか一時的に当てはまっているだけなのか客観的な視点を忘れないでください。

スピリチュアルや予知能力の詐欺

HSPには霊感や予知能力、スピリチュアルな才能があるなどと喧伝する人もいますがそういったことは一切ありません。

自分にもそんな能力があるのなら解放したい!と思ってしまうかもしれませんが騙されないでください。

HSPのように感受性の強い人は不思議な出来事に遭遇するとそれを超常現象だと考えがちなことがイギリスのダービー大学の調査でも分かっています。

特に女性は注意しましょう。あくまで傾向ですが男性は能力を「獲得したい」と思い、女性は眠っている能力を「目覚めさせたい」と思う人が多いとされています。

その心理を絶妙に突いて「あなたの本当の能力を目覚めさせましょう」などと言ってその気にさせ無意味なカウンセリングを継続させようとするスピリチュアルカウンセラーも多いので騙されないようにしましょう。

予知能力や霊感などが証明されたことは有史以来一度もいないのです。

有名なマジシャンのジェームズ・ランディが「目の前で特殊能力を見せてくれたら100万ドル(約1億円)あげる」という企画を長年やっていましたが成功した人はいません。

バンテージ・センシティビティ

HSPは環境からの影響を受けやすいということをこれまで説明してきました。

しかしこれは決してマイナスなことばかりではありません。

ポジティブな出来事からの影響の受けやすさを「バンテージ・センシティビティ」といいます。

過去の複数の研究を分析するとHSPはバンテージ・センシティビティが高い可能性があるのです。

バンテージ・センシティビティが高いと人間関係や教育などからより良い影響を受けることができます。心理カウンセリングを受けたときの効果が出やすいともいわれています。

もちろんこれには成育環境なども影響しますからすべてのHSPが該当するわけではありません。

しかしHSPの感覚処理感受性の高さをポジティブな事柄にも利用することで生きづらさを改善できる可能性があります。

HSP全員に当てはまるわけではないのですがこういったプラスの感受性を上手く使うことで音楽や芸術の分野で創造性を発揮できるのではないかともいわれています。

HSPのカウンセリングについて

当カウンセリングルームではHSPの生きづらさを改善するためのカウンセリングを行っております。

特に仕事や勉強、人間関係において困難さを抱えている方はぜひご相談ください。

HSPの繊細さをどのように活かすかは人それぞれ異なりますからカウンセリングの方法も異なります。

あなたの特徴をきちんと把握したうえで最適な手法で支援いたします。

繊細さを武器にしていただければ幸いです。

参考文献

・Natascha de Hoog and Peter Verboon. (2019). Is the news making us unhappy? The influence of daily news exposure on emotional states.
・Christopher C. Gearhart and Graham D. Bodie. (2012). Sensory-Processing Sensitivity and Communication Apprehension: Dual Influences on Self-Reported Stress in a College Student Sample.
・Bianca P Acevedo, Tyler Santander, et al. (2021). Sensory Processing Sensitivity Predicts Individual Differences in Resting-State Functional Connectivity Associated with Depth of Processing.
・Irwin Harvey J, Schofield Malcolm B, Baker Ian S. (2014). Dissociative tendencies, sensory processing sensitivity and aberrant salience as predictors of anomalous experiences and paranormal attributions.
・Robert Redfearn. (2019). Sensory Processing Sensitivity: Is being highly sensitive associated with stress and burnout in nursing?
・Michael Pluess, Jay Belsky. (2013). Vantage sensitivity: Individual differences in response to positive experiences.
・Elham Assary, Helena M. S. Zavos, et al. (2021). Genetic architecture of Environmental Sensitivity reflects multiple heritable components: a twin study with adolescents.
・J. Martin Ramirez, Nebrija Universidad, et al. (2004). Individual differences in anger reaction to noise. Individual Differences Research.